幸せのキス

2/2
前へ
/16ページ
次へ
アーサーがハッ、として時計を見ると、朝の4時56分だった。 後4分で、アルフレッドの住んでいるアメリカでも7月4日になる時刻だ。 そういえば、アルフレッドは? そう思ってあたりを見回すと、真横でぐっすりと眠っている恋人が居た。 服も何もかもが昨日と同じ状態だ。 ただ、自分の目線が元に戻っている以外は。 「あれ、俺、いつの間に戻ったんだ?」 「君が気を失った後だよ。ふあぁぁぁ・・・」 欠伸をして、たった今目覚めた眼鏡のないその瞳でアーサーを見つめるアルフレッド。 「おはよう、アーサー」 「あ、あぁ、おはよう、アルフレッド。見ろよ」 そう言って、時計を指差したアーサー。 「?4時59分?それがどうしたんだい?」 「もうすぐだ」 多くを語らず、アーサーは時計が5時を指すのを待っていた。 すると、丁度時計がその時刻を指した。 アルフレッドのほうに向いて、微笑んでアーサーは大事な言葉を贈った。 「HAPPY BIRTHDAY、アルフレッド」 「あ、ありがとうなんだぞ、アーサー」 気恥ずかしさに、アーサーはアルフレッドの唇を己の唇で塞ぐ。 嬉しそうなその笑みを浮かべるアーサーを見て、幸せを感じながらアルフレッドは瞳を閉じた。 最高のプレゼントだな、と笑いながら。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加