終章、『エピローグ』

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 町にある丘の上。とりあえず、そこにヴァルアの墓は作っておいた。  彼女の体はそこに無い。大切にしていた物を、とりあえず埋めた。  丘からは、森が見える。振り返ると、町は木々に遮られて見えない。  周囲には防壁があるので猛獣とかは入って来ないが、辺りの様子を見るとここは森の中のようだ。アドロメアの通った道は、草の無い道になり、周囲に咲く花はとても綺麗だ。 「……。」  墓をアドロメアはぼんやりと見詰める。十字架の墓は、非常に質素だ。ヴァルアは、こういうのを好んだからこれでいいのだと思う。  再び冷たい風が吹く。この六区は、冬でも雪は降らないが。
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