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「擬猿様、加減はどうでしょうか?」
「うきゃきゃ、最悪ですなぁ。」
全身包帯だらけ。まったくと言っていい程に動かなくなった肉体。
だが――――十二支の一人、擬猿は確かに生きていた。
「うきゃきゃ、で……獅進(ししん)。状況はどうですかなぁ?」
獅進と呼ばれた、ライオンの顔の男は擬猿に対し、そうですなと呟く。
「魔族の半数以上は、既に走馬の意見に賛同しております。だが……確実に、我々の様に万龍様の志を継ぐものはいます。」
擬猿は、そうですかそうですかと、うきゃうきゃ笑う。
「ならば、よし……うきゃきゃ、さてさて今の御時世にどう石を投じますかなぁ?」
擬猿は笑う。下手をやって、魔族が人間に滅ぼされてしまう事は避けたい。半数では、人間には勝てないだろう。
うっきゃっきゃっ、さてさてどうしますかなぁ?
「切り札は……この手の中に。」
その手には、一粒の虹のカケラが握られていた。
魔王の素ともなり、万龍を治した化け物のカケラ……。
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