間章の零、『語られざる物語り』

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 パニッシャーを撃ちながら空中で上手く場所を変えて、タリアスはリュオの頭上で薄笑いを浮かべていた。  気付いて、リュオの両目がタリアスを捉える。だが。  ―――――遅い!  タリアスの剣が、リュオの顔に襲い掛かった。辺りに響く不快な音と、確実に直撃した手応え。  雲が舞う程に高い上空での、五秒にも満たぬ攻防。タリアスの魔力を帯びて凶悪で強靭になった凶刃は、リュオに確かに直撃した筈である。無事では済まない筈である。  タリアスは、自分の剣を見た。柄の両端にあった刀のうち、リュオに対し使った部分が欠けている。  自分と共に、地面に向けてすぐ近くで落下しているリュオの方をタリアスは見た。  欠けていた刀の部分はそこにあった。リュオは刀の欠けた部分を口にくわえていた。どうやら、口で歯で顎であの一撃を止めたらしい。へし折った、らしい。  バキバキと音を立てながら、砕けて行く刀。なんとリュオは、刀を食べていた。タリアスの思考が一瞬止まる。  彼は刀を……鉱物を主食にして、パニッシャーにも平然として耐えてしまう肉体を手に入れたのだろうか? そんな憶測が頭に飛び交う頃に――――タリアスの頭は物理的な衝撃を覚えた。
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