間章の零、『語られざる物語り』

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「うっ……く……」  衣服は所々破け、顔は真っ赤に染まり髪はほどけていた。  所々の骨が砕け、皮も剥け肉もいくらか抉れている。 「……流石、だね……リュオ。」  タリアスの笑みを見て、リュオは僅かに鋭い眼を見開く。 「貴様……タリアスか?」  タリアスは、その場に座り微笑みながらリュオを見上げる。 「ああ。今は、意識が本当にハッキリとしているよ。今は、多分リュオや……他の皆が知っている、『タリアス』でいられてる。」  ゲホゲホと血を吐いてから、タリアスは真剣な目でリュオを再び見上げた。 「面倒をかけてすまない……だが、今から言う話しを聞いて欲しい。」 「……言ってみろ。」  リュオは、タリアスを見下ろしながら静かに言った。
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