間章の零、『語られざる物語り』

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 そこまで言って、ゲホゲホと血痰を吐くタリアスに対し、リュオは一歩近付く。  それに対し、タリアスは手を前に出し首を横に振る。いい。そんな資格は私に無い。 「……その怪物は、やがて倒されたが……死ぬ間際に胞子状の何かをばら蒔いた。  それは人々を歪ませて、魔族は生まれた……。」  人間と魔族、どちらの文献にも載っていない話しさとタリアスが言って、リュオは僅かに眉をよせる。 「……さて、その怪物の死体は……当時のありとあらゆる手段を使っても容易くは消えなかった。  そこで、とりあえずその死体を人々は解体した。肉片は、どういう訳だか丸い形になったみたいだね。  人々は、それを簡単には訪れる事の出来ない深い地に封印したんだ……。」  ふぅ、とタリアスは息を呑む。また、星空を見上げた。
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