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「……やぁ、リュオ。引きこもりはもうやめたのかい?」
リュオ・ラスエセドの耳に、懐かしい声が聞こえる。最後に聞いたのは何時だったか少しだけ考えて、思い出す必要もなかったのですぐにやめた。
「ふふ……ヴァルアは間に合うかな? ねぇリュオ、君はどう思う?」
「さて、な……。」
リュオは辺りを無言で見回した。戦いによって倒された木々。ヴァルアが力を使った痕も見れた。
流石に、他に気を回す余裕などは無かったか。
タリアス・アルナスルはクスクスと笑いながら、リュオを眺める。
獅子の鬣の様な灰色のクセが非常に強く長い髪は腰の辺りまで伸びていた。タリアスの記憶では、肩の辺りを越えたくらいだ。
褐色の肌と、太めな灰色の眉から覗かせる猛獣の如き眼光は金色。
「しかし……相変わらず、粗末な服だねぇ。」
からかうようにタリアスは言う。茶色っぽい囚人服の様な簡素な上下。五区の服装は、そんなものか。
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