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「私達織田家が上京するに当たって、最後に障害となるのはここ、六角義治率いる六角家の居城、観音寺城よ。」
京一帯が書き記された地図の、琵琶湖付近を指し示した。
地図を囲うように座っているのは、扇子で観音寺城を指し示している桂花と、時計回りに藤、明智光秀、蘭、滝川一益、柴田勝家、丹羽長秀、そして巽。
後ろには桜や他に小姓等が、軍義があまり聞こえない程度の距離にいる。
また、姿は隠しているが鈴や亜璃栖もいる。
「今は季節が秋。私達は2つの理由で春になるまでに上京を進める必要がある。一つは、三好家の動向じゃ。一益、報告せい。」
「三好家は元より将軍殺害未遂の噂があったためか、未だに京の民の人心掌握が済んでおらぬ模様。しかし、情勢が不安定な今は、それも当てには出来ぬ状況にて、上京は早くするのが上作かと思います。」
「と、これがひとつ目の理由。もうひとつが、背後の強敵よ。この冬の間なら、山河に囲まれた期間は雪で行軍に適さない時期になる。武田はまだ竹千代に任せればよいが、上杉謙信はそうもいかぬ。」
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