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「じゃが、その観音寺城を攻めるに当たって、障害が一点、ここじゃ。」
示したのは琵琶湖の右一帯。
「一条谷城の朝倉義景、小谷城の浅井長政、この両方が障害じゃ。朝倉家は大名、朝倉義景こそ小物であまり征服欲がないらしいのじゃが、一帯でも最大規模を誇る大名じゃ。先先代が亡くなっておることだけが救いじゃがな。そして浅井家、山間の小さな領土しか持たぬとはいえ、城は天然の城塞、そのうえ浅井長政の手腕と水運で大きな富を得ているとのことじゃ。このどちらもが六角家とは同盟関係で、背後を取られたら苦戦必至じゃ。しかも、先に攻め落とすにはどちらもかたすぎる。」
「では、同盟なり停戦協定なりを結ばれるのですか?」
「当たりじゃ。藤。私はどちらかと同盟関係となる予定じゃ。そこで皆に聞こう。浅井、朝倉、どちらと同盟を結ぶべきじゃと思うか?」
そう言っているが、口角を上げて笑っている。
本気で参考にする気はないのだろう、意地の悪いことこの上ない。
「普通に考えたら朝倉、でしょうな。商業を除いて浅井に勝っている所などない。」
まずは丹羽長秀。
「堅実な米五郎らしいの。次。」
「あんな細々とした浅井なぞ蹴散らせばいいのです。であれば、朝倉で問題ない。」
柴田勝家。
「弱い所を叩こうなぞ意見、お主らしくはないが、攻め落としてしまえというのはお主らしいの。次。」
「そもそも、朝倉と同盟を結べば浅井は歯向かわないでしょうし、浅井とだけ結ぶには朝倉の影が大きいかと。」
明智光秀。
「もっともじゃの。次。」
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