浅井長政

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「そのことに気づいているのかは知らぬが、内政に力を入れている国がまずここじゃ。」  先ほど軍義で使った地図を取り出した。 「武田家。ここは商売というよりは農業に力を入れておる。山河に囲まれ、農業に向く土地が多いからの判断じゃな。しかもここは騎馬隊が強い。いずれ合間見える必要がある強敵じゃろう。」  武田の騎馬隊といえばかなりの有名な隊であった。  他の国の馬より一回りも大きな馬にまたがって突撃するそれは、畏怖の対象となっている。 「北条。あまり大きな欲をもたず、侵攻をしないからあまり名が上がらぬようじゃが、ここの内政は行き届いておるし、民は北条家を慕っておる。総構えという街のありかたを作ったのは私も驚いたくらいじゃ。」  総構えは、ようは街そのものをひとつの城とし、石垣で囲ってしまうというもので、このようなありかたをしている国はここにしかない。 「そして、最後はここじゃ。」  そして最後に指し示すは、本日の軍義の話題ともなった。 「浅井家。……しかしここは私も詳しくは知らんのじゃ。何せ先代の久政はかなりの無能での。現当主である長政になってからなのじゃが、まだそんなに日が立っておらんのじゃ。」  逆の言い方をすれば、その少ない期間で桂花の目に留まるだけの成長ぶりを見せているという言い方も出来る。
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