169人が本棚に入れています
本棚に追加
「そこでじゃ巽。お主はこれから浅井家について情報を集めてもらいたいのじゃ。どんなことでも構わぬし、どんなやり方でも構わぬ。必要があれば織田家の家臣として行動してもよい。」
それは、ここに戻って初めての主命であった。
「亜璃栖は連れていっても構わぬ。元より亜璃栖はお主の家臣じゃからな。後に顔合わせを予定しておる竹中半兵衛とやらも、勿論連れていっても構わぬ。お主に仕えると申せば、な。期限は次回の軍義の刻前までじゃ。時期は鈴に追って連絡させる。なに、すぐではない。」
その主命に、巽はふたつ返事ではい、とだけ答えた。
「ふふっ。よい返事じゃ。さて、と。この話はこれで終いじゃ。ここからが私が巽を呼んだ本命。私の元を離れた時からの話を聞かせてもらうぞ。」
そう言うと、主君としての顔とはうってかわって、お土産を待つ子供のような顔をして巽を凝視。
「い、いや桂花。話すのは勿論構わないが、そっちを主とするのは一大名としてどうなんだ……。」
最初のコメントを投稿しよう!