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「全く、飲み過ぎだよこのおっちゃん。」
巽が色々なはなしを聞いてた人は、限界がきたのだろう急に倒れてしまった。
「おーい、大丈夫か?」
顔をはたくと、わずかながらに反応がある、ただ寝てしまっただけだろう。
「その方は店の方に任せておけばよいですよ。ここは裏手で旅籠もやっておりますゆえ。」
そう、声をかけたのはこの時代には珍しく長髪で黒髪、長身細身できりっとした目付きが特徴的な女性だった。
「店主、お泊まりの客一名様だ。連れていってくれ。」
「はいよ。」
待ってましたと言わんばかりに奥から屈強な男たちが現れて、男はそのまま奥に連れ去られてしまった。
「旅のご仁も、もしもう旅籠を取られているなら、ああならぬように気を付けるようにな。」
「あぁ、忠告ありがとう。忠告ついでに一杯、どぶろくで良ければ。」
そう巽がいいながらおちょこを差し出すと、
「ありがたく頂こう。」
と言い、一気に中身を飲み干した。
とはいっても、たかだかおちょこ一杯ではあるが。
「お返しにどうぞ。」
「いただくよ。」
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