浅井長政

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「夜風が気持ちいい。これで酔いも醒めるだろう。」  巽が彼女の手を強引に引きながら、一端外へ連れ出した。  酔った勢いで下世話なことを言う輩がでそうなくらいには騒いでしまったことと、一端落ち着くために雰囲気を変えたかったこと、顔が赤いのを酔いのせいにしたかったなど、色んな思惑があり、逆に手なんて繋いで連れ出したら逢い引きと勘違いされかねない、なんて思考には行き着かなかったようだ。 「すまなかった。さっきの件もそうだけど、今も無理やり連れ出してしまって。あのままだと嫌な絡まれ方しそうな気がして、つい、な。」 「いえ、大丈夫です。私が騒ぎすぎたので少し居づらかったですし、助かりました。」  最も、結果下世話な人は疑る結果に終わったということに、連れられた彼女も気づかず狼狽することもなかったことだけが救いだった。 「それに、勝手に疑って見つめたのも、それに、び、美人と言われて狼狽えたのも、私が悪いことですから。」 「いや、俺も何も言わなければ良かったし、確かに俺でもあなたの立場なら怪しんで見てただろうからお互い様ですよ。結局、あなたは浅井家の武将、ということで間違いなさそうだしな。」
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