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「しかし驚いた。あなたほどの美人が美人と言われて狼狽えるとは思わなかった。今まであまり言われなかったのか?」
場が持たなくて話した話題としてはかなり最低ではあったが、相手もあまり気にせず答えてくれた。
「私はあまり外を出歩いたり、人と話すことがあまりなくて、そういうことは、分からないんです、よく。時間があれば武将としての知識や力をつけることばかりにかまけてましたから。」
「なるほど。」
この時代、よくあることのようではあるが、こういう育ちかたをする武将は多くいた、その中の一人なのだろう。
「お陰で今の私があるのでよかった、とは思っているんですが、すぐうろたえてしまうのはいけませんね。」
そういい、おどけて見せた。
「さて、もう戻る気にもなれないし、そろそろお開きとするかな。さぞ実力あるだろう方に聞くのも失礼かもしれないが、帰り道は大丈夫か?」
「はい。すぐ近いところに住んでいますし、もしあなたが襲ってきても、斬り返して差し上げますよ。」
「そっか。それじゃ、斬られたくないし、送っていくのもやめておこう。また明日。」
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