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巽が本来狙ってた同盟まではたどり着けなかったものの、浅井家と織田家の不可侵を取り付けることが出来たと、一気に息を吐いて肩を下ろした。
「慣れないことをするからですよ。勿論、昨日みたいな口調でいきなり話し出す使者なんていたら、即刻首を斬って差し上げますけどね。」
そう、茶目っ気たっぷりにウインクまでしながら浅井長政としての対応に戻った。
「自分でも慣れないこと言っているとは思うよ。もう二度と交渉の場で発言したくないわ……。」
普段比較的しっかりしているが、元よりこちらに来たのは高校入学くらいの頃だ、こういった堅苦しい場というのはあまり慣れていないのだろう。
「ふふっ。」
げんなりしている巽を微笑ましく見ている。
「ところで、どうせですからそちらのくの一さんのお名前も聞いていいですか?」
そう言われて、まだ名乗らせてもいないことに巽は気づいた。
「こいつは亜璃栖っていって、俺の仲間だよ。桂……信長様の家臣じゃなくて。ただ基本的に人と話さないからな、何も言わないのは勘弁してくれ。」
巽の言う通り、紹介に対して声を出さずに会釈のみで返した。
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