神速

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「お主のいた時代では、こんな暑い日は無かったのか? 私も暑いとは思ったものじゃが、だれる程ではなかったのじゃがな。」 「今が何度か……えっと、どれくらい暑いのか、っていうものさしが分からないからなんとも言えないけど、少なくとも炎天下で歩いて移動する必要はあまりなかったからなぁ。今ほど暑いと感じることも少なかったと思う。」 「ほぅ、未来ではこんな風に移動はせんのかの?」  興味がそそられる話だったようで、子供のように続きをせがんでくる。 「未来の乗り物の一つに車、というものがあって、大体の人はそれで移動するんだよ。今で一番近い感じなのは、籠かな。少し古い時代に遡って、馬車っていう乗り物があると思うが、それが人力や馬から機械の力に変わってる。ちょっと口で機械が何かを説明するのは難しいけど、とにかく長い距離の移動だと、籠みたいな上を遮った形の乗り物があるから、暑さを感じにくいんだよ。」 「じゃが、籠だと中が蒸し暑くならんかの? 逆に暑いと思うのじゃが。」 「その中にはクーラーっていうものがあって、それが暑い時は涼しく、寒い時は暖かくしてくれるんだよ。」 「ほう! それは便利そうじゃな! それじゃったら、籠に乗るのも楽になるじゃろうな。」
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