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「して、その観音寺城、どうやって攻め落とす?」
攻めるに難いと言われた観音寺城。
大小沢山の城々は、決して堅城とは言えない城ではあるものの、だからこそ落とした後にも取り返される、統一にはなかなか厄介な城と言われた。
また、六角義治もそれを存分に使用した戦が得意であった。
さらに悪いことに、裏には将軍を暗殺しようと企んだ三好家、具体的に言えば松永久秀の影がある。
「無論、私の考えはある。じゃが、私としては皆の意見も聞いておきたい。」
とはいう桂花だが、結局自分の作戦を通すのだろうということは皆薄々は感じていた。
ようは、桂花は配下を試しているのだ。
それはいつもの、ある意味悪い癖であった。
「かつてこの城を攻めたものの戦法は各城を一つずつ落としていくやり方。通常これが定石かと思います。」
「じゃが当然、そのやり方には時間がかかる。それは当然、藤も分かっておろう?」
「はい。ですが、どの城に主力があるかわからない以上、やはり補給線を断たれないように近い城から順に落とすしかないように思います。」
この戦法の嫌らしいところは、命令系統がどこにあるかがわからない点だ。
勿論士気の問題で崩れることはままあるが、大将を落とさない限り再起される可能性は高い。
だから暗殺の危険があれば影武者は置くし、逆に暗殺を仕向けようと思うのだ。
「他に何かあるやつはおるか?」
と、いう桂花の問いに、答えられるものは一人もいない。
つまりは正攻法はこれしかない、ということでもあった。
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