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砂だらけの砂漠をキノとモトラドのエルメスが走っていた。
強い日差しの中でタンクトップ姿でゴーグルをかけているキノの頬を汗が伝う。
「本当にあると思う?嘘つきの国って」
「あってもらわないと困るよ、ここまで来てるんだから。……もう水もガソリンも戻れるだけの量はないしね」
「第一キノがあのお兄さんの言ったことを鵜呑みにするからこんなことになったんだよ。自分はその国の住人だったってさ、それじゃああのお兄さんも嘘つきってことじゃないか」
「でも嘘つきの国の住民が嘘つきの国はあるって言ったら、ないって意味になって嘘つきの国の住民なんていないことになるじゃないか。そうなったらあの人は嘘つきの国の住民じゃなくなって嘘がつけないって……」
「キノ~人は嘘つきの国の住人じゃなくても嘘はつくんだよ。それにもしそんな国があったとしてあのお兄さんが国の場所を嘘ついたって可能性もあるじゃないか」
「うぐ~」
エルメスの言葉に意地を張っているキノが唸る。
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