嘘つきの国

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「へいらっしゃい。滞在は三日、意図は観光、パースエイダー所持の女の子とモトラドが一台ね」 門番兼入国審査官のおじさんがてきぱきと必要書類を作っていく。 「ここってほんとに嘘つき達の国なの?ッィテ」 無邪気に質問するエルメスをキノがタンクを叩いて黙らせる。 「ああ、あってるよ、正確には“嘘つきの国”だけどね。さあ、入っていいよ。ところで旅人さん宿って決まってないよね。」 意外にもおじさんは陽気に答えた。 キノが「安くてシャワーがあって白いシーツのフカフカなベットがあって食事が美味しくて量があるところならどこでもいいです」と答えるとオススメの宿まで教えてくれた。 「じつはその宿値段が高くてお風呂もなくてベットが汚れててかたくてご飯が美味しくない上に貧相なところだったらどうする?」 門をくぐったあとでエルメスがそう言うとキノは 「行くだけ行ってみるよ。もしそうだったら別のところを探せばいい」 と答えた。
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