嘘つきの国

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翌日、キノとエルメスは国を見てまわった。 出会う人みんなが優しく宿に帰る頃になるとエルメスはプレゼントで一杯になった。 そしてみんな正直で誰にも嘘をつかれなかった。 三日目の早朝、エルメスの願いでこれ以上プレゼントが増える前に出国することにした。 無理を言って早めに作ってもらった大量の朝食を平らげたキノとプレゼントをこれでもかと載せたエルメスが出国するとあの門番のおじさんが話しかけてきた。 「旅人さん、楽しんでくれたかい?」 「ええ、宿の紹介ありがとうございました。あそこの食事とても美味しかったです」 「宿の横の修理屋でタイヤとかいろいろタダ同然で交換してもらえたしね」 「そうかい、それを聞いたらあいつらも喜ぶぜ」 「ところでどうしてこの国は嘘つきの国って呼ばれてるんですか?この国に来てまだ一度も嘘をつかれていないんですが……」 「そーそー、僕も気になってたんだよね。もしかしたら詐欺にでもひっかけられるんじゃないかと思ってたけどそういうのもなかったし」 キノとエルメスが質問すると門番が 「ハッハッハッ、そいつは簡単なことだよ。この国の名前が嘘つきの国だからさ!!」 両手を広げ子供に種明かしをするように言った。 「……」 「えっそれだけ!?」 唖然としているキノと逆の意味で驚いたエルメスを見て門番のおじさんは楽しそうに笑う。 「おう、それだけだ。馬鹿らしいかもしれねえけどよ、この国じゃあそもそも嘘をつくことは禁じられているんだ。詐欺なんかしてみろ、終身刑だぜ」 「国の名前で嘘ついてるじゃん」 「それはアレだ、ただ国の呼び方が“ウソツキノクニ”ってだけで意味はないってことになってるんだ」 「へ~ゆるい法律だね」 「ってことで旅人さん、誰かにこの国を紹介するときはネタバレしないようにしてくれよな」 門番のおじさんはにっこり笑って言った。
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