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「え…?」
初めて、と言ったあと和泉が、はっ と顔を強ばらせた。
「あ…えっと……」
「ご、ごめん、和泉!話したくないことだよね?いーよ、話さなくて!」
「雫……ありがと」
和泉は力なく微笑んだ。
「いつか話すね…」
「ああ、わかった。無理しなくていいからな。…それより!頼もう。2人は決まった?」
今までの和泉と違くて驚いた。明るい子のはずなのに――あんな寂しそうな顔をするとは思わなかった。
私は話を変えるため、目の前にいる槻館くんと雲野くんに聞いた。
「でさー!…ん?ああ、決まったよ。注目しよっか」
「ああ」
槻館くんがインターホンを鳴らして、少しして店員が来た。
どうやら私達の話は聞いていなかったらしい。少し助かったと思った。
注目を終えて、また4人でいろんな話をした。だけど私はさっき見た和泉の表情が、頭の中でずっと渦巻いていた。
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