2 視線

2/8
前へ
/41ページ
次へ
隣からカバンを置く音が聞こえて、驚いて音が聞こえた方を見る。 「あ……」 さっきドアから入って来た可愛い子が、隣にいた。 また、ずっと見ていたんだろう。視線に気付いたその子が、こちらを見た。 そして、にこっ と、笑って―― 「初めまして!あたし華川 和泉 (はなかわ いずみ)って言います!」 私の想像していた声、そして彼女の見た目や笑顔とよく似合う、少し高い可愛らしい声。 「わ、私は、時名 雫(ときな しずく)。華川さん…凄く可愛い……」 自己紹介をして、彼女に対して思ったことを素直に言った。 「ほんと?……えへへ、照れるなぁ」 彼女は恥ずかしさを見せて、少し顔を赤くしながら笑った。 もちろん、その笑顔も可愛い。 「ねっ!"雫"って呼んでもいい…かな?」 「う、うん。もちろん」 彼女の顔が不安そうな表情から、ぱぁっ と明るくなった。 「やったぁ!よろしくね、雫!!あ、あたしのことは、"和泉"って呼んで!」 「和泉……。よろしく。…ふっ」 くるくる変わる、和泉の表情1つ1つが可愛くて、素直なんだな、と思って笑ってしまった。 「あ!やっと笑ったぁ!!」 「ふっ……え?」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加