2章

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「柚希はどうだった?大丈夫だった?」 あたしはひとつ心配していたことがある。 林さんは使用済のパンツを買うような人だ。 変な性癖があっても何ら不思議ではない。 変態的な要求をされていないか、無理やり嫌なことをやらされていないかずっと気がかりだった。  「林、すごいキモかった」 柚希は一瞬顔をしかめ、それ以上そのことについて触れなかった。 あたしも深く突っ込むのをやめた。 あたしは石田さんと、柚希は林さんと、同じ時刻に違う場所で関係を持ち、お金を貰った。 その事実だけでじゅうぶんだった。 運ばれてきたコーヒーの黒さに、飲む気がなくなる。 黒。 それはあたしの色みたいで、汚く思えた。
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