2章

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突き返された封筒がテーブルに残る。 あたしはそれをもう一度鞄 に戻した。 あたしの手元には、再び30万円がある。 「これを受け取らない代わりにひとつお願い。これからも一緒に続けて欲しいの。愚痴を言い合える相手がいないと息がつまりそうだよ。ね、真子」 「……うん。わかったよ」 心のどこかで、石田さんを逃すのはもったいないと思い始めていた。 でも、司にバレたらと思うと不安になる。 あれ。 さっきまでは司に対する罪悪感で胸がいっぱいだったのに。 今はそんなこと忘れている。 あたし、調子いいな。 情けなくて笑えてくるよ。 「真子は司くんのことが気がかり?」 あたしの気持ちを察した柚希。 「うん。彼氏いるのにこんなことしちゃダメだってわかってる。だけど……」 あたしはお金に魅せられはじめていた。
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