2章

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お金を受け取った瞬間の興奮が忘れられない。 今、あたしの体は価値がある。 こうして買ってもらえるのも、若いうちだけだ。 「少しだけなら、司にもバレないかなあ……」 愛人に“少し”も何もない。 「大丈夫だよ。キャバのバイト続けながら一緒に頑張ろう」 バレなきゃ良いんだよ。 秘密でやっちゃえ。 悪魔の囁きだ。 心のどこかに止める自分がいる。 同時に、すすめる自分も存在していた。 「お金があれば好きなものが手に入るよ。お金で買えないものなんて、この世に存在しないんだから」 独り言のように遠くを見つめて柚希がつぶやいた。 金で買えないモノはない。 ああ。 そうかもしれない。 あたしもそんなことを思った。
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