3章

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大学もついに夏休みになった。 田舎では毎年嫌でも耳に響くセミの鳴き声が聞こえない、はじめての夏。 あたしは司に内緒でキャバクラと愛人を続けている。 石田さんは初めてあたしを抱いた日以来、司の名前を呼ばせない。 それは何より嬉しいことであったけれど、司に対する罪悪感が日増しに薄れていくのを感じている。 それはそれであたしを苦しめた。 石田さんとは週に1回程度一緒に食事をしてマンションに向かう。 時々買い物をし、プレゼントしてくれた。 セックスは至ってノーマルだったけれど、経験豊富なだけあってあたしは毎回意識を手放してしまう。 石田さんとの関係が“当たり前”になっていく。 司にはバレなければいいんだ。 このままうまくやっていける。 そんな自信さえ芽生えはじめていた。
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