3章

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キャバで働く理由のひとつ、自分に自信を持つこと。 それは自然と持てるようになった。 毎日可愛いと言われ、ちやほやされ、もてはやされて。 あの時店長の言っていた言葉の意味が今ならわかる。 今のあたしは数ケ月前のあたしより確実に輝いている。 キャバの仕事には少なからず感謝している。 働かなければこんな風に変わることはできなかった。 しかし、最近は真面目に働く気を失っている。 石田さんから毎月100万貰っているせいで、以前のように夜の仕事をする気になれない。 営業も接客もどうでもよくなってしまった。 頑張らなくたって毎月石田さんからお金が振込まれる。 日に日にキャバで働く意味を失っていく。 客に対して態度は悪くなり、接客も手抜きになった。 指名で通ってくれていた客が次々に来店しなくなる。 中谷さんもそのひとりだ。 でも、別にかまわない。 まったく悲しくない。 来ないほうが楽だ。 だって待機していられるし。 時給×時間分だけ貰えればじゅうぶん。 努力なんて面倒だ。 柚希と2人でダラダラと働く。 それでも店を辞めなかった理由が、あたしたちにはあった。
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