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「司くんにはバレてない?大丈夫?」
柚希は時々こうして司のことを心配してくれる。
「ありがとう。全然気づいてないよ」
司にだけは絶対に知られるわけにはいかない。
「いらっしゃいませ」
威勢の良い黒服の声が店内に響いた。
せっかく待機してたのに。
あたしたちはソファーから腰をあげ、背筋を伸ばして立ち上がった。
店に入ってきたのは4人の男性で、見るからにお金を持っていそうだった。
仕立ての良さそうなスーツに、オシャレな革靴。
ちらりと覗かせる、数百万の時計。
ああ。
お金もってるんだな。
ひと目でわかる。
真っ直ぐVIP席に進む彼らの中の、チョコレート色のスーツを着た30代半ばくらいの男性と目があった。
漆黒なその瞳に、
吸い込まれるような感覚に陥った。
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