3章

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「やばい。あたし超着きたいかも」 再びソファーに腰をおろすと、興奮気味に柚希が言った。 柚希だけじゃない。 周りの女の子も皆、同じ気持ちだろう。 彼らを見つめる瞳が輝いている。 VIP席に消えた4人組を、皆が獲物を狙う肉食動物のような眼で見つめている。 あたしはさっき他の席に着いたばかりだ。 きっと行かないだろう。 「柚希はたぶん行くんじゃないかな?パパになるような人だといいね」 客にする気は一切ない。 店に金を落とすよりも、その金を直接貰えたほうが嬉しいのだ。 裏引きして金を得ることもできる。 けれど、後々面倒が起きる心配があった。 愛人ならばお互い様であり、こちらは体を提供し相手はそれを金で買う、後腐れない大人の関係。 面倒な駆け引きも必要ないし、何より楽だ。 あたしたちはすっかり、“愛人”に抵抗をなくしてした。
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