3章

12/47
前へ
/482ページ
次へ
「俺はね、親父の会社でいちおう社長やってるんだ。親父が会長ね。まあ、親父はまだまだ現役だけど」 社長さんなんだ。 この若さでそれはすごいな。 「それからね……」 ともくんは休む間もなくひたすら話し続けた。 仕事の話、趣味の話。 好きな食べ物に好きな映画。 休日の過ごし方や、友達のこと。 あたしはただニコニコしながら「うんうん」とうなずいていた。 いるんだよね。 こういうお客さん。 あたしは嫌いじゃない、ともくんみたいな人。 聞いているだけでいいなんて、楽だ。 好きなドリンクも頼ませてくれるし、ボトルも入れている。 なおかつ酒を水のようにゴクゴクと豪快に飲み干す。 良い客だ。 文句の言い様がない。
/482ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1339人が本棚に入れています
本棚に追加