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数日後、どうでもいいフリー席からようやく待機席に戻って来たあたしに、黒服が言った。
「指名です」
めんどくさいなと思いつつ席にいって驚いた。
相手はともくんだったのだ。
「もう来ないかと思ったよ」
客にする気がなかったあたしは、お礼のメールすらしていなかった。
失礼極まりない。
「連絡しようかと思ったんだけど、突然来たほうがビックリするかと思ってね」
ともくんは目尻に薄いシワを刻み、笑う。
「うん。ビックリしちゃったよ」
その日は適度に混んでいて、それなのにまったく働く気が起きないでいたから、ともくんが来てくれて助かった。
色々なフリーの席につくよりも指名客のほうが楽なのだ。
「好きなもの飲んでよ。フードも適当に頼んでいいからね」
「ありがとう」
お金があるって素晴らしい。
財布の中身を気にせず飲み食いできるんだから。
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