3章

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「そうそう、柚希ちゃん」 「え?でも柚希は本名で源氏は……」 「静香ちゃんだよね」と、ともくんはあたしを遮った。 柚希のやつ、本名を教えたわけだ。 初対面で本名を教えるなんてあり得ないと思ったけれど、柚希はその青山さんという人を客にする気は最初からないから、仕方のないことかもしれない。 それでも本名じゃなく偽名を名乗るべきだ。 パパになる人には絶対に店に来てほしくない。 これはあたしと柚希の考えだ。 石田さんたちもあれ以来店には来ない。 というより、来ないでとお願いしている。 それは、もしものことを考えているから。 例えば酔ったはずみであたしとの関係をバラされては困る。 そんなことないだろうけど、用心に越したことはない。
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