3章

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あたしに選択肢はない。 そうだよ。 やっちゃえよ。 ひとりもふたりも変わらないよ。 お前はすでに汚れているんだ。 ――違う。あたしは……。 頭の中に響く恐ろしい言葉に、言い返すことができない。 「わかった。やるよ、愛人」 もう、逃げられないでしょ。 引き返せないんだ。 進むしかない。 「あー、良かった。これからよろしくね!」 ともくんはあたしの手を掴むと、周りから見えないように自分の股間に移動させた。 握り潰してやりたい気持ちを抑え、無理やりに笑った。 吐き気が止まらない。 気持ち悪い。 気持ち悪い。 ああ、そうか。 あたし自身が気持ち悪い女なんだ。
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