エピローグ

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数ヶ月後-ー。 「ひとりで大丈夫?」 玄関に立つあたしに、蓮が訊く。 「うん。大丈夫」 ドアを開くと真っ青な空があたしを待っていて、少しだけ勇気づけられる。 「がんばれよ」 あたしはこくりと頷き、彼のマンションを出た。 今日は柚希の初公判の日。 あたしは証人として出廷する。 世間は面白可笑しくこの事件を取り上げ、今現在あたしはその渦中にいる。 いや、あたしだけじゃない。 “あたしたち”だ。 マスコミに追われ家族にも迷惑をかけてしまっている。 自分の過ちを悔い、両親と妹に謝罪を繰り返した。 それでも「生きなさい」と言ってくれた家族に、あたしは感謝している。 今日法廷で、石田さんと何があったのか包み隠さず話すつもりだ。 それが今後の裁判にどう影響するのかわからないけれど、あたしに出来る精一杯のこと。 あの汚い倉庫に1ヶ月近く監禁され、何度も痛めつけられた柚希に、世間からは同情の声もある。
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