1章

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何かを始めるきっかけなんて、みんなそんなものだと思う。 あたしにはあの黒服(のちに店長だとわかるのだが)の一言が、小さな胸に響いた。 それだけではない。 お金を稼げると思った。 夢にまでみた都会の生活。 バッグがなくなりパンツを売って、お金がなくて途方に暮れていたあたしに、キャバクラという未知なる世界が一筋の蜘蛛の糸に見えてしまった。 細く、そして白いこの糸の先に、一体何が待っているのだろう。
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