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「いやあ、本当に見違えたよ」
胸に大きなリボンを拵えた淡いグリーンのロングドレスを着たあたしの肩をポンと叩く、黒服の男性。
一ヵ月前、店の前であたしに声をかけ、この店に入店させた張本人だ。
「俺の目に狂いはなかったね。一目見たときから愛音は売れると思ったよ」
「またそんなこと言って」
あたしは頬をゆるませて笑う。
ここにいる人間たはあたしを愛音と呼ぶ。
愛音(あいね)
あたしの源氏名だ。
この名前がぴったりだと店長にすすめられて決まったのだけど、愛を奏でる音だね、とお客さんに言われてから、この名が好きになった。
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