1章

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「やっと出て行ける」 新幹線の切符を握りしめ、あたしは独り喜びを噛みしめていた。 手のひらの中には東京行きの切符が一枚。 もちろん帰りの切符はない、夢の片道切符。 今日という日をどれ程夢みてきたか、ここにいるすべての人に話して聞かせたいくらいだ。 ホームに溢れる人たちは、それぞれ何を思い何を目的に生きているのだろう。 夢は?希望は? ひとりひとりに訊いて歩きたい。 あたしには夢がない。 正確には今日、今この瞬間に長年待ち続けた夢が叶ったのだ。
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