5章

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「もう……解放して」 悔しくて、悲しくて涙が出てきた。 蹴られたお腹が痛い。 叩かれた頬が痛い。 でも一番痛いのは、心だった。 あたしは生きてるのに。 こんな奴隷みたいな生活、もう嫌だ。 「はぁ?解放?するわけないだろ!」 さらに強く髪を引っ張られ、涙が頬を伝う。 石田さんはそれをペロリと舐め取り、ニタリと笑う。 「こっちには写真や映像があるんだ。もし俺から逃げるようなことがあれば、あれを実家に送り付けるよ?まあ、逃げられればの話ね」 「最低。人間のやることじゃ」 最後まで言い終わる前に拳が飛んできた。 視界が揺れて、憎い相手の顔が霞んでいく。 目も、鼻も、口もわからない。 肌色をした物体が揺れている。 こいつは、本当に人間じゃないのかもしれない。
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