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雲一つなく晴れ渡った空、穏やかな水面、見渡す限り青の世界に白い帆をはためかせ一隻の船が浮かんでいる。
ゆっくりと歩みを進めるのはカタルナ号という海賊船だった。
とはいえ、海賊船だと言うにはあまりにもシンプルな木船で海賊旗が掲げられていなかったらわからないくらいだ。
そんなカタルナ号の誰もいない甲板に清々しい風が通り抜けていく。
しかし、そんな爽やかな外界に反して船内には何とも言えぬ混沌とした空気が立ち込めていた。
一同は食堂に会し、神妙な顔つきをしている。
「シャルディ…話聞いて、ね?」
中でも王子様風のルックスに金髪に緑の目をした青年が困った顔で栗毛の少女の顔を覗き込んでいた。
彼はエドワード・ハリスと名乗るカタルナ海賊団のお頭を務める人物で、対する彼女はシャルディ・ラゼートと言うとある田舎街の伯爵令嬢だ。
ちなみにシャルディは気は強そうだし特別美人ではないが愛嬌のある顔立ちをしていて黙っていれば可愛らしい女の子だった。
だが、そんな彼女は現在ご機嫌斜めのようで、彼の言葉には一切耳を貸そうとはしない。
「しょうがねーんじゃねーの?だって、お頭が“浮気”したんだろ?」
けらけらと笑いながらからかったのは、額に大きな傷のある小柄で可愛らしい少年。
航海士のレイジーだ。
実を言うと見た目は少年に見えるが少年と言うほどの年齢ではないらしい。
「レイジー!何て事を言うんだ!?僕は無実だってば!」
「どうかねー?お頭だって健全な男なわけだし、こんな美人となら間違いがあってもおかしくは…」
レイジーはちらりとテーブルの前にちょこんと座っているもう一人の少女に視線を向けた。
透き通った白い肌、すらりと伸びた肢体、そして銀髪の長い髪に碧い瞳、その顔は人形のように美しくてうっとりとしてしまうほどの美人だった。
「マジで美人だよなー。こんな美人とならオイラだって…」
ついついレイジーの下心がひょっこり顔を出す。
すると思いがけず、シャルディと目があってぎくりと肩を揺らす。
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