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「エド!大丈夫か、しっかりしろ!・・・っくそ、死ぬなよ、エドモンド!」
今にも崩れそうな体。
背中から流れる大量の血液。
死ぬな、死ぬなよエドモンド!と連呼しながらゆっくりとうつぶせに寝かせて、イギリスは妖精さんたちにも傷の手当をお願いしようとする。でも。
「イギリス、もうその人駄目だよ」
妖精の中の1人がそう言った。
生きてて欲しいのはわかるけど、これだけの出血だったらもう。
と。
ブリ天になって、何度も奇跡を起こそうとした。
ほあた☆ほあた☆と何度も涙に濡れながら、エドモンドの出血を止めようと、生き続けて欲しいと願いをこめて、星型のステッキを振った。
「ア・・・サ・・・」
ほあた☆とやっている間に、エドモンドの声が小さく聞こえた。
「!!エドモンド!」
息を荒くして、仰向けになったエドモンド。
地面に血がつくのも、手榴弾の破片が自分の体により深く刺さるのにも構わない。
「ア・・・サ・・・どこ、だ?」
「!!!!!!」
「くそ、アイツ、無事、だったかな。咄嗟に庇ったはいいけど、ははっ。俺がこんなざまじゃ、笑われちまうかな」
何も映していない、どこまでも澄んだ青い瞳。
自嘲を含んだ笑い声。
イギリスが近くにいることも、声を掛けていたことも、エドモンドにはわからなかった。
「あぁ、このまま俺、死ぬのかな。だったら最後に、アイツのキスが欲しかったな」
「馬鹿、キスなんていくらでもしてやるから!だから、起きろ!生きてくれ!」
「あぁ、アーサーの幻聴(こえ)が聞こえる。・・・そうだな、おきて、おはようの・・・キス・・・を・・・・・・・・・」
それっきり、エドモンドは動かなくなった。
自分の部下と、自分だけが生き残った戦火の地で、イギリスは慟哭を上げた。
その叫びは、遥か彼方にまで届きそうな音量だった。
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