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「.... ちょっとー?生きてる~?」
「.... .... .... 。」
関は、木場という名の生ける屍を引きずりながら一角のベンチまで訪れた。
コースター終了時。
一頻りスリルを堪能した関は降車する直前にやたら静かな隣を見た。
横にいたのは最早抜け殻と化した木場。
その姿がまたなんとも滑稽で、早く降りろ、と係員に急かされるのも御構い無くケータイでパシャリと収め、ここまで連れてきた。
.... と、いうのが今に至る経緯である。
しかし....
「ほんっと、情けないよね.... 」
はー、と息を吐く。
ちょーっといじめてやろーと思ったのに....
ちょっと処かもうアウトじゃん。
逆に興醒めだよ。
「.... .... るい.... 。」
「.... え?」
「気分.... 悪い.... 。」
.... ....
お子様か?
おいおい、しっかりしてよ。
どんだけなよっちいわけ?
関はふん、と鼻を鳴らすと
「──じゃ、そこで少し待ってて。飲みもん買ってくる。」
木場の返事を聞く前に.... まぁ、恐らく返事などしていないと思うのだが、足早に関は売店を探しに行った。
全く。
.... この僕に手間を掛させるなんて....
今までの男どもはみーんな容姿と仕草にイチコロ。
甘え上手って特だよねぇ。
見た目とのギャップがイーんだってさ。
ま、.... 本気だったことなんてナイケド。
所詮、彼であっても、あの美しい姿に僕が触れることができればイイワケで。
あんな取り引き只の口実。
逃がさない。
「─よわーい仔犬にはお仕置きだね。」
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