telephone

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母親は、こうしてたまに俺に電話を掛けて来る。頻度で言えば、二週間にいっぺんくらい。 俺から、実家に電話を掛けることは滅多にない。 母親は寂しいのかもしれない。 「……そっちはさ、皆元気でやってんの?」 『……それがね、お父さんが、落ち込んでるのよ』 「え?」 あの父親が落ち込むようなことなんてあるんだろうか? 想像出来なくて、思わず聞き返してしまった。 父親は、定年間近で、大学の教授をやっている。その前は、小学校の教頭と校長をやっていた。 だが、昔気質でひどく融通の利かない男だった。
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