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この声の調子からすると、母親にとっては、きっと明るいニュースだったに違いない。
『あら、女の先生? さすがお兄ちゃんね! 可愛い子?』
「……うん、まあ」
さすがお兄ちゃんね、か。
『あら、そう。お父さんに言っておくわね! お正月にはちゃんと家に帰って来て、彼女連れてきなさいよ』
「……うん」
父親は、母親の傍にいるらしかったが、電話に代わる気がないようだった。そのまま暫くして電話は切れた。
俺は、布団の上に携帯電話を投げつけた。自分の顔の前に、白いバスタオルがだらりと掛かり、視界が遮られた。
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