友達

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そこで妙な沈黙があり、テーブルに視線を落としていた俺は顔を上げた。 「自分が女やと思うと、耐えられんのや」 一瞬、俺を見た勇希は、喉の奥から絞り出したような声を上げ、歪む唇を手で押さえた。 「女性としてとか、女の子なんだから、とか誰やねん? 一体誰の話やねん。誰に言ってんねん」 「そんなこと言われ続けてると、自分が誰なのかわからんくなる」 俺から視線を逸らし、鼻先を赤くした勇希は、下唇を前歯で噛み締めながら、不安定な声のトーンで喋り続けた。 「どんな嫌なことがあっても、自分が男やと思ってきたから踏ん張れた。どんな風に踏みにじられても、踏みにじられない自分でいられた」 「そんで一人で耐えて来たんやから、それだけは否定しないで欲しい」 絞り出した声は低く、叫び声のようにも、うめき声のようにも聞こえた。 そこで、勇希の言葉は途切れた。
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