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「千代、また外へ行こうとしているのかい?体は大丈夫なの!?」
母の声が部屋に響き渡る。
千代と呼ばれた16ほどの少女はにっこりと笑い「体なら大丈夫です」と返事をした。
彼女の顔はどこか色が悪い。理由は病弱で今も体調が優れていないからだ。
「もう…」
しかし千代の母はこれ以上言ったってどの道、行動は制しないだろうと思い、少し困ったような表情をして見せた。
長屋の一室、一つだけ部屋が仕切られている障子の薄ぺらい紙からは太陽の光が散々と射し込んでいる。
その黄金色の塊は眩しいくらいに千代の目を刺激していた。
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