時は江戸

6/20
前へ
/235ページ
次へ
長屋を出ると咲の母に声を掛けられた。 「千代ちゃん、雪の中出掛けるのかい?」 「ええ!体なら大丈夫ですよ!すぐに戻って来ますし」 神無月(十月)、霜月(十一月)、師走(十二月)の三冬で、特に師走の時期は寒さが厳しく、肌が凍える。 雪は霏々として降った後だからまだ道には少量積もっているが、歩くのに障害にはならなかった。 長屋の一帯を通り過ぎた後、道を右に曲がると小さな松林が揃う森がある。 そこを奥まで歩いて行くと黎明神社という神社があり、千代は御参りに行こうと目指していた。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

300人が本棚に入れています
本棚に追加