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長屋を出ると咲の母に声を掛けられた。
「千代ちゃん、雪の中出掛けるのかい?」
「ええ!体なら大丈夫ですよ!すぐに戻って来ますし」
神無月(十月)、霜月(十一月)、師走(十二月)の三冬で、特に師走の時期は寒さが厳しく、肌が凍える。
雪は霏々として降った後だからまだ道には少量積もっているが、歩くのに障害にはならなかった。
長屋の一帯を通り過ぎた後、道を右に曲がると小さな松林が揃う森がある。
そこを奥まで歩いて行くと黎明神社という神社があり、千代は御参りに行こうと目指していた。
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