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璃暖からのメールはとてつもなく長文で、彼女自信もナノマシンキャリアとして優秀なことが伺えた。体内にナノマシンを接種している場合、このような長文でも入力にさして時間はかからない。昔に姉が手に触れもせずに電化製品を操っていたことをふと思い出した。
とりあえず要約すると学校とはどういう場所で、同い年の人たちと一緒に生活するのはどういう感覚なのか、気になっているという感じだった。
この子はこっちの容姿とかよりも環境が気になってるのか?
大和は開示されている個人情報を見ると、四月二日生まれで現在十四歳。身長百三十八センチ、体重三十八キロとなっている。個人的な情報まで表示されていながらも璃暖がこちらのことに興味を示さないのは、数字の上だけの情報は意味を成さないと考えているからかもしれない。
そんなことを考えているとひょいと手の中のPDAを取り上げられる。
「なにすんだよ、瀬霞(らいか)」
大和が抗議すると赤いブレザーにチェックの紺色スカートの制服を着た活発そうなショートカットの少女がにこりと微笑んだ。
「なに?大和も紹介メール来たんだ?」
『大和も』と言われてここにいる女子たちは既に二年も前からこのメールが届いていることを再認識する。
「大和っていちいち全員相手のしそうでこわいなぁ。いい?全員相手してたら身が持たないわよ?」
心配そうに顔を覗き込まれて大和がどぎまぎしていると、瀬霞がにやりと笑った。
「大和ってかわいいからねー。中学生をそのまま高校生にしたみたいだしっ」
座っている大和に瀬霞がぎゅーっと力一杯抱き締め、大和が腕の中でじたばたと暴れるも、大和の顔には大きな柔らかいものが余計にくっ付くだけだった。
「ちょっとー、瀬霞。大和くんが可愛いのは認めるけど男子にセクハラすると反省文書かされるよー」
回りの女子が茶化してクラスメイトの数人が愉快そうに笑い、大和がようやく解放されて荒い呼吸を何とか収める。
「優しい大和は幼馴染みを大切にするから訴えたりなんてしないよねー?」
満面の笑みを浮かべる瀬霞に大和はおずおずと頷く。
脅されたわけでも嫌な思いをしたわけでもない。そんなことよりも大和はようやく自分のことに気が付いた。
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