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風呂場へと移動し、汚れの付いた制服を脱ぐ。
二階からは何も聞こえてこない。 零が暴れていない証拠だ。
それに安堵しながら、脱いだ制服をカゴには入れず洗面器へと放り投げる。 さすがに、洗濯機では洗えない。
血って……洗って落ちるモノなんだろうか。
倒れていた女の人を思い出し、記憶を振り払うように首を振る。
一歩間違えたら、私がああなっていた。 佐原くんが来てくれなかったら、確実に……。
「……」
改めて自分の無力さを痛感する。
風呂の中へ入り、思い切りシャワーを捻った。 湯気の立つお湯が私の頭へと降り注いでく。
勢いのあるお湯に頭を打たれながら、自身の身体から流れ落ちていくドロや血液を見つめた。
吸血鬼の強い力。 血への欲求。
あのドロジーと出会ったことで、彼らの恐ろしさを思い知った。
私が、無力だということも。
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