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風呂から上がり着替え終わった私がリビングへと戻ると、椅子に座る佐原くんが目に入った。
キョウも佐原くんの向かいへと腰掛け、私に気付き笑い掛けて来た。
「依千、座りなさい。
傷の手当てをしよう」
「……」
頷くこともしないまま、私はすぐに尋ね返す。
「零は?」
その問いに答えたのは佐原くんだった。
「大丈夫です。 薬を飲み、今は部屋に」
「……」
「天野さん」
椅子から立ち上がった佐原くんが私へと近付いて来る。
そして、手を私の肩へと伸ばした。
「…っ、」
触れられた瞬間、鈍痛が走る。
そんな私へと念を押すように、佐原くんは言った。
「怪我を手当てするまで、二階には行かせません」
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