531人が本棚に入れています
本棚に追加
「話したのか……」
少し震えた声。
キョウのその声に反応し、自然と顔が上がる。
穏やかな表情、そのいつもの様子とは裏腹に、彼の眉間にシワが刻まれている。
キョウ――?
「ミックスだと、名乗ったのか?」
「……キョウ……?」
「答えろ! 依千!!」
「…っ」
突然の大声に、思わず肩が揺れる。
そんな私の様子にハッとした表情を浮かべたキョウ。 自身の額に手をあてがい、ため息を吐くと俯いた。
「……すまない。 予想外の事態に驚いてしまって……」
「ミックスだと、やっぱり言っちゃいけなかったの……?」
「……」
黙すキョウに、声をかけたのは佐原くんだった。
「――きちんと説明をしておいた方が良いかと」
最初のコメントを投稿しよう!